ネスレが、Ozempic、Wegovy、MounjaroなどGLP-1系減量薬を利用する人に向けた商品開発を強化していることを明らかにし、その対象となるのが、高たんぱく食品や栄養補助飲料など。
これは減量薬に関連した食品を追加するという単純な商品展開ではなく、GLP-1系減量薬によって食事量や栄養摂取が変われば、食品に求められる量や栄養設計も変わってくるもので、薬の利用によって生じた食行動の変化を、食品メーカーが商品開発の条件として捉え始めたのということなんです。
食べる量の変化を前提にした商品が作られる
ネスレが開発を強化している高たんぱく食品や栄養補助飲料は、急激な減量に伴う筋肉量低下や、栄養摂取量の変化を意識した設計になっていて、従来と同じ量を食べることを前提とするのではなく、食べる量そのものが変化する利用者を想定している点が特徴となっています。
食事量が少なくなれば、一度の食事から何を摂るのかという商品の設計条件も変わってきますし、高たんぱくという方向性はその一つであり、栄養補助飲料も、食事量の変化を前提に食品を組み立て直す動きとして位置づけられます。
食品メーカーにとっては、たくさん食べてもらうことだけが商品開発の前提ではなくなってきて、GLP-1利用者を対象にする場合、食べる量が減ることを受け入れたうえで、その量に合わせて商品サイズや栄養設計を調整する発想が必要となります。
GLP-1の影響が食品へ及ぶ理由は、薬そのものではなく、それを利用する人の食行動が変わるところでもあります。
食事量の減少を「新しい市場」と見る食品企業
アメリカでは約1600万人がGLP-1薬を利用しているとされ、調査主体や基準時点は示されていないものの、食品メーカーがGLP-1利用者を商品開発の対象として考える背景には、こうした利用者の規模があるようで、食べる量が減る人が増えれば、食品メーカーにとって販売量の減少につながる面がある一方で、メーカー側には、この変化を既存市場への脅威として扱うだけでなく、新しい消費カテゴリーとして捉える動きも出ています。
従来と同じ食品を同じ量で売るのではなく、食行動が変わった人に合わせた商品を設計することで、別の需要を作ろうとしているわけですね。
この発想はネスレだけに限らず、アイスクリーム企業でも、GLP-1利用者の食行動を意識し、高たんぱく化、小容量化、原材料の簡素化といった商品設計が報じられていますし、企業名や具体的な商品名までは示されていないのですが、少なくとも入力情報の範囲では、複数の食品分野で食べ方の変化を商品側へ反映する動きが出てきているようですね。
小容量化は、とくに分かりやすい変化となり、食べる量が減るのであれば、従来の商品サイズを維持することが正解というわけでもなく、さらに高たんぱく化などを組み合わせれば、量だけでなく、少ない食事の中で何を摂るかという点まで商品設計の対象となってきます。
GLP-1が食品市場に及ぼしている影響は、こうした設計思想の変化に表れていて、薬の売上や利用者数だけを見ていても、この動きの全体像は捉えにくい。
利用者の食べ方が変われば、その人たちに食品を売る企業も商品を作り直すことになり、薬とは別の市場にまで変化が及び始めます。
高たんぱく、小容量が食品売り場の新しい軸になる可能性
現在確認できる商品開発が続けば、食品売り場でも高たんぱく、小容量、栄養密度重視、筋肉維持などを意識した商品や、GLP-1利用者を対象とする訴求が増える可能性があり、すでにネスレやアイスクリーム企業で見られる設計を考えれば、食品の「量」と「中身」の両方を調整する方向は、GLP-1利用者向け商品を考える一つの軸になりえます。
これは、GLP-1をめぐる市場を見る対象が薬そのものから、その薬を使う生活へ移っていく可能性も示していて、利用者の食行動が変われば、そこで新たに必要とされる商品をめぐって食品企業が動きます。
GLP-1利用者を新しい消費カテゴリーとして捉える企業が増えれば、競争の範囲が食品などの周辺商品へ及ぶことも考えられます。
ただし、GLP-1利用者向けの商品が実際にどこまで必要なのか、通常の商品とどう違うのかといった点は、今の所ふえみであり、現在見えているのは、その必要性への答えではなく、食行動の変化を前提に食品メーカーが商品設計を変え始めたという動き。
GLP-1の普及を食品側から見ると、焦点になるのは利用者数だけではなく、食品のサイズや栄養設計、売り場での訴求まで変わっていけば、薬によって生まれた食行動の変化が新しい商品カテゴリーを作ることになります。
GLP-1をめぐる競争は、薬を提供する市場だけで完結せず、利用者が何を、どのくらい食べるのかに合わせた商品の設計へ及ぶ可能性がありますね。

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